私たちの生活の中では、モノの売買はなくてはならない行動ですよね。
そして、ほとんどの人がモノを買う消費者という立場です。
そんなモノを買うときに、「モノの値段はどのように決められているんだろう?」と不思議になったことはありませんか?
コンビニのおにぎりにしろ、電気屋の電化製品にしろ、「これは高いな、何でこんなに高いんだろう」といった疑問を持た経験があるかと思います。
実は私たちが普段購入する財(商品やサービス)には、その財の価格を決める基準となる概念である”需要”と”供給”が関係しています。
本記事では、そんなモノの価値を決める基準となる需要と供給の関係性についてご説明していきます。
需要について
需要とは財に対して消費者が欲しいという意欲のことです。
その需要は消費者のお給料から自由に使えるお金である「可処分所得」や「財の価格」などに依存しています。
可処分所得とは家計の年収から「社会保険料」「所得税」「住民税」といった非消費支出を差し引いた家計で自由に処分できる所得のことを言います。
当たり前のことですが、この可処分所得が増えると、自由になるお金が増えるということで、財の需要も高まります。
みなさんも会社から貰えるお給料が増えると懐具合が良くなって、普段買わない物を買ったり、買う量を増やしたりしますよね。
ここでは、需要と供給の関係を説明するときはよく「りんご」で例えられるので、「りんご」使って説明していきます。
例えば、普段あなたはスーパーに行っても、大好物のりんごを金銭的不安から3個しか購入しないとします。
ですが、金銭的に潤っているあなたは、食べたい分だけのりんごを購入したくなると思います。
これは実際のりんごの価値が変わっていないですが、可処分所得が増えたことで、自分が満足できる数のりんご数に近づけるようになります。
また、可処分所得以外に、その財の価格が下がることで需要が高まると考えられます。
これはりんごに対する主観的な評価は変わりませんが、りんごの実際の価値だけが下がりますから、可処分所得の増加と同様、りんごの需要が高まります。
そのために、りんごが好きな方は普段よりも多くのりんごを購入しようと考えるわけです。
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供給について
供給とは財やサービスを提供しようとする経済活動のことをいいます。
その供給は「賃金」などに依存しています。
例えば、りんごを生産する労力提供者に支払われる「賃金」が上昇したとします。
この場合、生産に対する賃金が上昇したことにより、生産コストも上昇するということになります。
そうなれば、今までの市場価格では採算が取れなくなりますので、生産側は生産数を減らそうと考えられるため供給が減ります。
供給側も商売で生産を行っているわけですから、生産コストが高まれば、商品の数を減らし、価格を上げて少しでも利益を得ようとするのは当たり前のことだといえます。
また、りんごなどの食べ物の場合などは、「生産環境」に影響を受けます。
例えば、機械トラブルなどによって、生産する際にかかるコストが大きくなってしまえば、そのブランドのリンゴは生産量を減らすことを考えます。
また、よく食べ物の価格に影響を与えている、対策の取るのが難しい天候不順などで価格が大きく高まることがあります。
これは後に説明しますが、”希少性”という概念が関係しています。
このような理由から、その財の供給が下がり、価格が高まることがあるのです。
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需要曲線と供給曲線の関係性
上記の図は供給曲線と需要曲線を表しています。
需要曲線の場合は財数量が増加するごとにその財の価格が下がっていきます。
供給曲線の場合は財の価格が高くなるほど売りたい人(供給)が増えるため財数量も増えていきます。
この2つの曲線から多くの消費者と供給者が満足する価格と財数量が見てわかります。
そして、その2つの曲線が交わっている点を「均衡点」、その点の価格を「均衡価格」、数量を「均衡取引量」と呼びます。
この2つの曲線が交わった部分こそが、供給側と需要側が最も納得のいく価格と数量であり、理想的な値だといえるのです。
例えば、需要側である消費者が市場で多く出回っている商品に対して、高い価格が設定されていると「珍しくもないのに何でこんなに高いの?」と不満に思うのです。
また、逆に大量生産が難しい商品を安く価格設定をすると、供給側である生産側は、「生産が難しいのにあまり利益にならないのであれば、利益が得られる商品を作ったほうがマシだ」と考えるわけです。
こういった需要と供給のバランスが崩れると、いままでお手頃で変えた生活用品が高くて買えなくなってしまったり、数が少なくて手に入りづらくなってしまうのです。
上で紹介した図は例ですので、財の種類によって、需要曲線と供給曲線の値が変わってきます。
つまり、財によって曲線の急さや緩やかさが異なるということです。
その曲線が急であるか、それとも緩やかであるかを判断するために弾力性という概念を用います。
ですので、次の章ではその「弾力性」について説明していきたいと思います。
需要の弾力性
需要の弾力性とは価格が1%上昇したときに需要量が何%減少するかを表したものです。
下記の計算式から需要の弾力性が求められます。
例えば、価格が100円の商品に対して需要が5あったとします。
ですが、その商品の原料の物価が高くなってしまい、価格が100円から500円に値上がりして、400円(400円/100円=400%)増加したことになります。
この値上がりによって、その商品の需要が5だったものが3に減少し、2減少(2/5=40%)してしまいました。
この時の価格弾力性は「40%/400%=0.1」となるということです。
弾力性が1よりも大きくなる場合は、価格の変動に対して需要量が大きく変化するため、弾力的な需要曲線と呼ばれます。
弾力的な需要曲線の場合は傾きが緩やかになります。
反対に、1よりも小さければ小さいほど、価格の変動に対して需要量が変化しないため、非弾力的な需要曲線と呼ばれます。
非弾力的な需要曲線の場合は傾きが急になります。
需要についての財
需要が弾力的な財とは
弾力的な財には宝石などの「贅沢品」が多いです。
例えば、現在のダイヤモンドは高価ですし、生活する分には必要なものです。
そのために購入したいという家計は少ないかと思います。
ですが、そのダイヤモンドが少し安くなったらどうでしょうか?
今まで欲しかった人はもちろん、手が届くようになった人は購入したくなりますよね。
それはダイヤモンドの価格が下がれば下がるほど、購入したいという家計が増えていくと考えられます。
逆にダイヤモンドの価格が上昇したら、今以上に需要が減っていくと考えられます。
このように価格の変化によって、需要量が大きく変わるモノを弾力的な財といいます。
需要が非弾力的な財とは
非弾力的な財には「生活必需品」が多いです。
例えば、料理には欠かせない「塩」で考えてみましょう。
その塩の価格が安くなったらどうでしょうか?
塩の価格が安くなったからといって、「買いだめしておこう」とか「これからの料理に塩をたくさん使っちゃおう」なんて考えないと思います。
また、逆に塩の価格が高くなったからといって買うのは控えようとも思わないと思います。
米や砂糖なども同様なことが言えます。
このように、生活必需品の塩は価格の変化に対して、需要量は変化しないため、非弾力的な財と言えます。
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供給の弾力性
需要と同様に供給にも弾力性と呼ばれるものがあります。
供給の弾力性は価格が1%上昇したときに供給量が何%増加するかを表したものです。
下記の計算式から供給の弾力性が求められます。
これは需要の弾力性に近い計算ですので、細かい説明は省くことにします。
この供給の弾力性が大きいほど、価格が上昇したときには、供給量も大きく増加しますので、傾きは緩やかになります。
逆に、供給の弾力性が小さい場合は、価格が上昇しても、供給量はそれほど増えないということなので、傾きは小さくなります。
供給についての財
長期的な供給の価格弾力性が短期的な弾力性に比べて大きくなると言えます。
その理由は、短期で調整できなかった財の供給量も、長期であれば調整できるようになります。
それだけに価格が増減に合わせて、供給を調整できるというわけです。
これは「農作物」と「工場生産」のような関係であると考えられます。
農作物は種をまいた数によって供給量が決まってしまいます。
そのために価格が高くなろうが低くなろうが、すぐに供給量を変えるのは無理ですよね。
ですが、機械的に生産している工場であれば、価格が大きくなったら機械の回転率を変えることで多少は供給量を増やすことができます。
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