アドラー心理学入門 – 「トラウマ」「課題の分離」をわかりやすく解説!

心理学

 

最近、自己啓発本などによく出てくる「アドラー心理学」。

そんなアドラー心理学をなんとなくしか知らない方も多いかと思います。

だからと言って、アドラー心理学は奥が深く、理解づらい部分があります。

 

ですので、本記事ではそんなアドラー心理学の重要なポイントをわかりやすく解説していこうと思います。

 

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
岸見 一郎 古賀 史健
ダイヤモンド社

 

アドラー心理学に書かれた文献の中でも、とても有名なものがこの「嫌われる勇気」です。

登場するのは、現状に悩む主人公とアドラー心理学を学んだ哲学者の2人となります。

そんな2人のやり取りで構成されている本ですので、頭の中にとても入ってきやすかったです。

この嫌われる勇気は「人間関係に悩まれている方」にオススメな本です。

本記事では「課題の分離」について説明していきますが、その他にも様々な概念を紹介しています。

職場や学校といった人間関係に悩まれている方はどのような考え方でいればよいのかを気づけるヒントを与えてくれるのが魅力だといえます。

 

そして、何よりも見どころなのが、主人公が怒りからムキになり、哲学者に食って掛かるシーンですね。

それに対して、哲学者はどんな切り返しをするのかが楽しみになるような内容となっています。

ですので、本記事を読んで、アドラー心理学に興味を持たれた方は、ぜひ読んでみてください。

 

 

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アドラー心理学とは

 

個人心理学と呼ばれる”アドラー心理学”は独特な思想があります。

このアドラー心理学は個人というモノが分かれることができない存在であると考えたことによります。

一般の心理学のような自分以外の人の心理に対象にしたものとは異なり、自分自身の心理を対象に行った自発的な考え方に訴えかけることから、哲学的な心理学だと言えるでしょう。

このようなアドラー心理学は、人が自らの課題に立ち向かい目的を達成するために、多くの気づきを与えてくれる心理学でもあります。

 

そんなアドラー心理学の思想には下記のようなものがあります。

 

目的論

アドラー心理学の代表的な考えでもある”目的論”。

「人のすべての行動には、原因ではなく目的がある」とアドラーは言います。

これは、名高い心理学者「ユング」、「フロイト」が考えていた「感情や行動は過去が原因で生み出される」といった”原因論”とは対極的にある考え方だといえます。

この考え方は本記事の『「トラウマ」は存在しない』でこの考え方を紹介していますので、参考にしてみてください。

 

共同体感覚

人は共同体の中で、自分の存在価値を感じ続けたいという欲求を持っているとアドラーは考えます。

自分の利益だけでなく、他者の利益のために行動するのはこの感覚のためなのです。

この共同体感覚には”他者貢献””他者信頼””自己受容”の3つの思想からなっています。

 

共同体の中で、自分の存在価値を高めるためには、他者を信頼し、他者に貢献することが大切です。

他人の課題に土足で踏み入る行為は他者を信頼していない証拠だといえます。

他者は信頼したうえで、どのように貢献できるかを考えることが、自分の課題になります。

 

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全ての悩みは対人関係の悩みである

 

アドラーの理論において有名なのが、「全ての悩みは対人関係の悩みである」といった考え方です。

これはいたってシンプルなイメージで説明できるのですが、「世界で自分一人しかいない」状態で考えてみてください。

何をするにでも自分一人で考えて行動し、自分のコンプレックスを意識しない状況になるかと思います。

そうなれば、そもそも悩みなんてモノは考えようがないわけです。

 

それが周囲に人がいる状態になれば、そこから様々な悩みが生まれていくのです。

人間関係、外見的なコンプレックス、プライドから生じる劣等感などが大きな悩みとして、人を苦しめるのです。

このような理由から、他人と良好な関係を築く能力を身に着けたとしても、それらの悩みは世界中に多くの人間がいることから、個々の悩みを解消するのは無理なことが分かるのです。

 

そのため、悩みをなくすためには、自分の考え方を変え、それを気にならないぐらいの考え方をするようにしなければいけないということです。

これを達成するためにアドラーが考え提唱した、アドラー心理学を用いることが有効だと言われているのです。

 

 

「トラウマ」は存在しない

 

この考え方から、誰にも持ち合わせている「トラウマ」も存在しないという考え方です。

 

例えば、過去のいじめが原因で学校を不登校になってしまった、いわば「引きこもり」になってしまった方がいるとします。

それは、引きこもっている方自身は、引きこもった原因はいじめが恐くて、人と関わるのが恐いといった思いからかもしれません。

 

ですが、アドラーの理論でいえば、それは…

”「家で引きこもるための理由」を自分で作り出したに過ぎない”

というのです。

 

これは人間関係が上手いかない人はそれを放棄することで、「自分が楽ができる」といった理由があると考えられるということです。

誰かにすがれば、そういった面倒なことから逃れることができますから。

また、引きこもることで、周囲の人間を心配させることで、一般の人よりも劣っていた冴えない自分が、その人たちから注目される重要人物になれると無意識に考えているのです。

このように、その行動には他人から認めてもらえない目的があり、「だったら仕方がないよね」と周囲から思ってもらえるような、やむなくその行動をとってしまっているという理由を作り出しているんだというのが、”トラウマは存在しない”というアドラーの考えなのです。

 

ここで勘違いしないでほしいのが、アドラーは「トラウマは存在しない」と言っているのは、トラウマ自体を否定しているわけではないということです。

 

アドラーが否定したのは、

「トラウマ」と称して、自分の都合の良いように偽りの理由を作る行為

そのものなのです。

 

トラウマ的なストーリーを、”その不純な理由を事実だと思い込む”ことを否定したわけです。

 

 

「課題の分離」とは

 

本記事でもアドラー心理学でも、最も重要な考え方があります。

それが”課題の分離”という考え方です。

 

これは2つの例で説明していきます。

 

子供の教育について

 

例えば、子供に「勉強しなさい」と無理やり勉強をさせようとすると親がいるとします。

これはよく一般家庭で行われている親と子の会話にでてくるワードでもあります。

そんな風景が当たり前に行われていることに私たちは、当然のように認識しているかもしれません。

ですが、子供が「勉強をして良い大学に入る」だの、「待遇の良い会社に勤める」のは子の課題であって、親の課題ではありません。

これは言われている対象からみれば、自分の領域に自分以外の人間が土足で踏み入れる行為だと捉えられるのです。

これは「最終的に誰が困るの?」といった質問をしたときに、それをしなかったことで困る対象の課題になるということです。

これを理解すると、先ほどの親が子供に勉強させようとするのは間違っているのではないかと考えられるわけです。

なぜなら、子が勉強できなくて、働き口がなかったとしても、それは子供の責任ですよね。

そして、心底困るのも子供なのです。

 

ですので、子供の教育において重要なのは、何でもかんでも子供に干渉するのではなく、成長しやすいように”環境を作ってあげる”ということです。

そして、大人は子供に正しい道を示してあげることが大切なのです。

ですので、子供が成長しやすいように「いつでもサポートしてやるぞ」といった姿勢を伝えてあげるようにしてあげてください。

結局、他人の意見を受け入れないような人は、自身で経験しなければ理解できないわけですから、いくら口うるさく子供に伝えても理解はできません。

それなら、困る環境をそれとなく用意してあげることも必要かもしれません。

 

「大人でも勉強する意味を理解できていないことがある」

また、子供からしてみれば、勉強することの本当の意味も知らなければ、多くの親も「いい会社に就職する」ことを目的にしていることから、本来の学問の意味を理解できていないことが多いので、下手に口出しするのは良くはないと思われます。

なぜなら、公共事業やインフラ事業などの政府から認められている企業に就職できれば、比較的仕事がなくなる可能性が低いと考えられるので、あながち間違いではないかと思います。

ですが、それ以外の企業は現在は事業経営が上手くいっていても10年後にはどうなっているかわかりませんよね。

そうなれば、再就職が難しい年齢になったときに生涯安定だと思っていた会社が倒産した場合、働き口がなくなってしまうことがありますよね。

この「良い会社に就職したほうが良い」という考え方はリスクが大きいと考えられるのです。

そのため、勉強とは学問を学び、自分で考え、実用的な価値のある能力に変えなければ意味がないわけです。

それによって、個人で考えて、自分なりの正解をみつけることができるのです。

 

「親が子供に干渉しすぎることでの問題」

最近では、よく目にする「親に子が危害を加えた」というニュースがあります。

これは親が子に干渉しすぎたことが原因で起きていることが多いと言われています。

子がこれまでの人生で自らで考えて選択してきた記憶がないことから、自分の失敗や挫折を無理強いしてきた親のせいにしてしまうというのが背景にあります。

子が「自分をこんな風にしたのは親のせいなんだ」と考えてもおかしくないわけですよね。

なぜなら、親が自分の価値観で自分の人生を動かしてきたという事実は理解できますからね。

これに関しては、子供の頃は世の中のことを知らない知識のない状態ですから、親が正しいと思っても仕方がないような気がします。

ですので、子供に選択を委ねることが大切だといえるかと思います。

 

 

他人からの印象

 

「自分が相手からどう思われるか」といったことを気にしすぎるのはあまり良くないということです。

これは気にしすぎることでストレスをためてしまうのはもちろん、他人の顔色ばかり気にして自分の考えを伝えられないと誰から信用してもらえないといった状況になってしまうのです。

これは心理学の「自己開示」と関係がありますので、ここでは説明をしませんので詳しく知りたい方は、『自己開示で相手から信頼される心理学テクニックを解説!』をお読みください。

 

相手に気を遣うのはもちろん、大切なことです。

ですが、こういった相手に自分の良い印象を持ってもらうのはとても難しいことですよね。

それに「相手がどう思うかは、あくまでその人の課題である」といえるのです。

これを操作することは、他人にはできないわけです。

ですから、他人によく見られようとする行動が、かえって「鼻につく」といった悪い印象を与えかねないは事実だと思います。

 

そして、そういった他人の印象を意識しすぎるあまり、自分の行動が委縮してしまい、思った行動がとれなかったりするのです。

これはいってみれば、他人の価値観で生きることになり、他人の課題に踏み入れることに他ならないのです。

 

こういったアドラーの考えに感銘を受けた、有名な心理学者「エリック・バーン」は下記のようなことを言っています。

 

”過去と他人は変えられない。
 
しかし、いまここから始まる未来と自分は変えられる”

 

この言葉から分かるように過去はもちろん、他人の変えることはできません。

ですが、自分を変えることは容易であり、自分をかえ、行動することでこれからの未来を良いモノに変えられるということですね。

 

人に認めてもらうよりも、まずは自分が自分を認めるところから始め、ありのままの自分で前向きに生きることで、必ずあなたを認めてくれる友人やパートナーが見つかるが現れるかと思います。

 

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